続がん50話 看護・薬剤編
50 副作用を防ぐ薬
丁元鎭
化学療法を受ける患者さんにとって最も気になる副作用の一つが吐き気・嘔吐(おうと)ではないでしょうか。吐き気を起こしやすいことで“悪名高い”シスプラチンなどの抗がん剤が体に入ると、小腸のクロム親和性細胞が打撃を受け、セロトニンという物質を放出します。これが「5-HT3受容体」にくっつき、最終的に延髄の嘔吐中枢を刺激します。サブスタンスPと呼ばれる物質が別の受容体に取り込まれて嘔吐中枢を刺激するという経路もあります。
最近では吐き気の出やすい抗がん剤を使うときはあらかじめセロトニン受容体拮抗(きっこう)薬=制吐剤=を抗がん剤の直前に使用することが定番となっています。塩酸グラニセトロンなどが代表的な薬剤です。化学療法を受けている患者さんのすべてに吐き気・嘔吐が出るわけではありませんが、患者さんに適した制吐剤を初めから計画的に使うことが重要です。
また、骨髄機能抑制も抗がん剤による重大な副作用の一つです。骨髄の働きが低下すると、赤血球・白血球・血小板の生産力が落ちてしまいます。このうち、白血球は、通常血液1立方ミリメートル当たり4000~9000個あり、そのうちの2000~7500個が好中球です。そして、白血球が同2000個以下、好中球が同1000個以下になると感染症の頻度が上昇するといわれています。
好中球は抗がん剤投与後7~14日ごろに最も減少します。通常、化学療法では白血球が同3000個以下だと治療の中止・延期を考えます。好中球減少対策としてG-CSF(顆粒<かりゅう>球コロニー刺激因子)という注射薬がよく使われています。フィルグラスチム、ナルトグラスチム、レノグラスチムなどがあります。
