続がん50話 看護・薬剤編
25 手術前後の栄養管理
高取素子
消化器は食べ物の消化、吸収、排せつの役割を分担し、同時に食べ物が通る道でもあります。食道や胃のがんの場合、水や食事がのどを通りにくいとか、食事の量が減ってきたという症状でがんが見つかることがあり、栄養不足の患者さんも少なくありません。このような患者さんには、手術の前に少量で高カロリーの栄養が摂取できる経口栄養剤(ドリンク)を食事の補助として飲んでもらったり、高カロリーの点滴をして栄養を補給します。
手術によって胃が小さくなったり、なくなったりしますので、手術の後には一度の食事の量は少なくして、1日6回に分けて食べる「分割食」を勧めています。特に食道がんの手術の後は嚥下(えんか・えんげ、口から胃に食物を送り込むこと)能力が低下することがあり、食べ物を飲み込んだ後、むせやすくなりますので、食事や水、お茶にとろみをつけています。
また手術の後、早い時期に腸に入れた管から経腸栄養剤を投与して栄養状態の改善を図り、絶食による腸細菌の異常と毒素の発生を抑えます。
小腸や大腸のがんで貧血が強い場合は、手術の前から輸血や造血剤の投与によって貧血の改善に努めます。また、腸管を安静にするために絶食にすることもあります。腸の手術の後、粥(かゆ)食から始めて徐々に普通食にしていきますが、適度に運動するように心掛け、便秘を起こさないように注意することが必要です。
