情報提供:大阪府立成人病センター

大阪がん情報提供コーナー

続がん50話

39 がんの細胞診断

大阪府立成人病センター臨床検査科
主査、竹中明美、同病理・細胞診断科部長、冨田裕彦

19世紀ごろより、痰(たん)や尿中からがん細胞を顕微鏡的に見つける方法が報告されてきましたが、1877年にパウル・エールリヒ=似顔絵、1908年にノーベル賞受賞=による血液染色の開発によって、顕微鏡による詳細な細胞の観察が可能となりました。1943年にジョージ・パパニコロウによる子宮頸部(けいぶ)細胞の染色および診断方法が報告されると、その簡便さと診断への有用性は広く着目されました。これらの方法は、その後幾多の改良を重ねられ、現在でも世界中で用いられている細胞診断法となったのです。

細胞診断は、当初は婦人科領域や呼吸器領域を中心に、がんのスクリーニング目的で行われました。その後、その有用性が知られるようになり、幅広い分野において診断を目的として用いられるようになりました。なかでも乳がんの診断には現在も一般的に用いられています。また、検査方法の進歩により肺や膵臓(すいぞう)などの臓器に小さな管を入れて細胞を採取することが可能になり、こうして採取される微小材料は主として細胞診断により診断されるようになりました。

大阪府立成人病センターでは、肺や膵臓の検査の際に細胞検査士が立ち会い、その場ですぐに採取された材料から標本作成、顕微鏡観察を行い、材料の適・不適を判断しています。このことは、正診率の向上に寄与するとともに、侵襲を伴う検査の患者さんへの負担を最小限にすることにもつながっています。

将来、検査方法の進歩により体の奥から微小な検体が採取されるようになると、細胞診断の重要性もさらに増してくると考えられます。