情報提供:大阪府立成人病センター

大阪がん情報提供コーナー

続がん50話

33 膵がんの放射線治療

大阪府立成人病センター放射線治療科診療主任
中村聡明

膵(すい)がんは、男女ともがんによる死亡数の第5位に位置し、年々増加の傾向を示しています。腹痛、体重減少、黄疸(おうだん)、耐糖能異常(糖尿病)などが主な症状ですが、初期には無症状のことが多く、早期発見が非常に困難とされています。また極めて悪性度が高く、小さながんであってもすぐに周囲(血管、胆管、神経)への浸潤や、近くのリンパ節への転移、肝臓などへの遠隔転移を伴うことから、治療が難しいがんのひとつとして知られています。

治療の基本は、手術でがんを切除することです。しかし、膵臓を含め、がん周辺の臓器、リンパ節など広い範囲を切除してしまうと、激しい下痢や、少ししか食べられなくなるといった後遺症が問題になります。このような場合、手術前に放射線治療や抗がん剤治療を併用して周囲へ広がったがん病巣をあらかじめ制御することで、手術で切除する範囲を最小限にすることができるようになってきました。

膵臓は胃・十二指腸・肝臓・腎臓といった比較的放射線のダメージを受けやすい臓器に囲まれており、これまでは放射線治療が行いにくい場所とされてきました。しかし近年は精度の高い放射線治療技術を用いることによって、できるだけ臓器に放射線を当てずに安全に治療できるようになっています。

大阪府立成人病センターでは、このように手術に放射線治療や抗がん剤治療を併用することで、血管まで浸潤した進行膵がんでも50%近い5年生存率が得られるようになっています。