情報提供:大阪府立成人病センター

大阪がん情報提供コーナー

続がん50話

29 新しい照射技術、IMRT

大阪府立成人病センター放射線治療科診療主任
中村聡明

強度変調放射線治療(IMRT)とは、さまざまな方向から病巣のみに放射線を集中して照射できる新照射技術で、がんの形に合わせて照射範囲や強さを調節することから名付けられました。治療計画コンピューターが何千・何万通りの照射法の中から最適な方法を導き出し、さらにその複雑な照射方法を、コンピューターが高精度に治療装置を制御することによって実施することができるようになりました。

この照射方法によって従来法では不可能であった理想的な放射線治療が可能となり、治療成績の向上や副作用の軽減が期待されています。さまざまながんに対して応用可能ですが、特に限局したがんに対して威力を発揮します。最もIMRTの臨床応用がなされている前立腺がんでは、手術に劣らない効果や副作用である直腸出血の軽減といった成果が報告されています。

IMRTでは、毎回の位置決めにおいても高い精度が必要となります。身体が動かないように型のようなもので固定し、治療前にX線やCTで位置を確認する場合もあります。そのために通常の放射線治療よりも時間がかかります。

08年4月より前立腺がん、頭頸部(とうけいぶ)がん、脳腫瘍(しゅよう)への治療に対して健康保険が適用になりました。ただし、施行する医師の人数や経験、品質管理を担当する技術者(医学物理士等)と治療専任の診療放射線技師が必要とされるなど品質管理面での制限があり、実施可能な病院は限定されています。