情報提供:大阪府立成人病センター

大阪がん情報提供コーナー

続がん50話

20 肉腫、中皮腫に挑む

大阪府立成人病センター研究所
病態生理学部門主任研究員・薬剤師・山村倫子、部門長・医師・高橋克仁

がんと闘うにはその「敵」を知らなければなりません。患者さんから同意を得て採取したがん組織を、免疫染色や蛋白(たんぱく)・遺伝子の最新技術で解析し、個々のがんの特徴を知ることによって、新薬が開発されてきました。最近、私たちはウイルスの病原性を無くして「肉腫(にくしゅ)」や「中皮腫(ちゅうひしゅ)」「消化管間質腫瘍(しゅよう)」などの特定の腫瘍細胞だけで増殖して、細胞を破壊できるように遺伝子改変したがん治療ウイルスを研究開発し、製剤化を目指しています。

悪性腫瘍には、体の表面や内臓などの上皮にできる「癌(がん)」とそれ以外の骨や筋肉、臓器の間質などにできる「肉腫」、胸膜や腹膜表面の中皮から発生する「中皮腫」があります。肉腫は多彩で小児期にもあり、中皮腫は、アスベストが体内に入ってから10~50年たって発症します。いずれも患者数は悪性固形腫瘍全体の2%(肉腫)と0・4%(中皮腫)と少ないため、治療法の研究が遅れています。

七夕の日に、肉腫と中皮腫の患者さんとその家族が白川郷に集まりました。自ら海外文献を片手に20年近く肉腫と闘った患者さんの追悼会と、著名な肉腫専門医を交えたミーティングが行われ、世界の肉腫患者会のチームサルコーマ活動とも手をつなぎました。病気や治療についての最新の情報と活力を得ることのできるこのような交流を通して、乳がんのピンクリボン運動やがん一般のリレーフォアライフ運動などとともに、患者さん自らが立ち上がる肉腫治療の新しい流れが始まろうとしています。