情報提供:大阪府立成人病センター

大阪がん情報提供コーナー

続がん50話

18 新しい診断法

大阪府立成人病センター研究所長
加藤菊也

皆さん、DNAチップをご存じですか。コンピューターに使われる半導体チップはトランジスタが多数のっていて、コンピューターの中枢として働きます。DNAチップは半導体チップと似た方法で製造されますが、トランジスタの代わりに、ヒトの全遺伝子(約3万個)が密集して固定されています。これを使うと、ヒトの全遺伝子の活動状態が簡単に分かります。

DNAチップは乳がんの新しい診断方法として脚光を浴びています。乳がんの中には悪性度の高いものと低いものがありますが、それは従来の検査方法でははっきりと分かりません。しかしながら、この二つでは乳がんの中で働いている遺伝子が違っており、DNAチップで各遺伝子の働き具合を調べると、悪性度が高いか低いかを診断することができるのです。

乳がんの治療にはよく抗がん剤が使われ、悪性度の低いものにも区別なく投与されています。これからはDNAチップで悪性度の低い乳がんと診断された患者さんには、抗がん剤を使う必要がなくなり、強い副作用から解放されるのです。

このようなDNAチップを使った遺伝子診断を活用する医療を「オーダーメイド医療」と言います。従来の医療では血液検査やX線検査などで病気の診断がつけば、治療法は決まってしまいました。オーダーメイド医療では従来の診断に加え、遺伝子診断を加えることにより、より詳細な治療法の選択が可能になります。現在は乳がんだけですが、大腸がんや脳腫瘍(しゅよう)など、他のがんでもオーダーメイド医療が行われるようになるでしょう。