情報提供:大阪府立成人病センター

大阪がん情報提供コーナー

続がん50話

17 病気の背景も研究

大阪府立成人病センター研究所病理学部門長
西澤恭子

服のオーダーメイドは、着る人のからだのサイズを測り、体形にあった服を作ることです。医療におけるオーダーメイドは、患者さんの状態にあった診療方針を選択することです。

患者さんの状態は、「病気そのもの」と「患者さん自身の状態(病気の背景)」に大きく分けることができます。

「病気そのもの」は診断につながり、医学の進歩とともにより詳しくなる傾向にあります。例えば、以前は「胃がん」とだけ診断していたものが、現在は「胃がん、組織型は高分化型腺がん、大きさは○○、深さは○○、病期は○○・・」となり、これをもとに診療方針が選択されます。ところが、詳しく診断しても、また同じ診断であるにもかかわらず、ある人に劇的な効果を示す治療法(例えば薬物療法)が別の人にはそれほど効果を示さない、時には効果がなく副作用だけが強く出ることがあります。これには、患者さん自身の薬物代謝や薬剤感受性が大きくかかわっています。「病気の背景」が異なるからであると言え、患者さんの全体像を知ることの大切さを示しています。

これまでの医学研究は主に「病気そのもの」を中心に進んできましたが、「病気の背景」を無視することはできません。最近では「病気の背景」に注目したさまざまな研究が行われており、「オーダーメイド医療実現化プロジェクト」もその一つです。5年前から始まり、多くの医療機関、研究機関が参加。当センターもがんを中心に協力しています。すぐさま実際の診療に利用できるものではありませんが、その成果が期待されているのです。