続がん50話
12 マーカー研究に期待
宮本泰豪
前回は、身体の状態を知るうえで定量的な指標となる「バイオマーカー」について説明しました。今回はがんに関してのバイオマーカーのお話です。
がんについては「腫瘍(しゅよう)マーカー」と呼ばれるものが既に多数見つかっています。例えば、肝臓がんのアルファフェトプロテイン(AFP)、大腸がんのCEA、前立腺がんのPSA、すい臓がんなどのCA19-9などです。
これらの血中の濃度を測定することは診断や治療後の経過観察に役立っていますが、がんを早期の段階で発見することはなかなか難しいのが現状です。
そこで、がんを早く発見することができるようなバイオマーカーの探索が求められています。具体的には、がんの患者さんと、がんでない人の血液や尿に含まれるさまざまなたんぱく質の量を比較し、患者さんだけに見つかるものがあると、バイオマーカーの候補となり、詳しく研究されることになります。
また、同じがんでも抗がん剤の効果は患者さんによってさまざまです。この抗がん剤の効果を予測するマーカーは、いくつかのがんに限っては、遺伝子の変異や発現量の違いで予測できるようになりつつあります。
さらに、同じような進行度のがんと診断されて治療を行っても、その後の転移などにより、予後(病後の経過)が悪い患者さんから完治する患者さんまでさまざまです。
患者さんの予後が予測できれば、手術などの治療の後のフォローアップに大変役立ちますが、残念ながら、現時点では、予後の予測に有効なバイオマーカーは見つかっておらず、今後の研究に期待がかかっています。
