情報提供:大阪府立成人病センター

大阪がん情報提供コーナー

がん50話

49 末期だけではないケア

大阪府立成人病センター腫瘍精神科・脳神経科部長
柏木雄次郎

がん緩和ケア(緩和ケア)は「がん末期に痛みを和らげること」だけではありません。「がんの初期から、がん自体のつらさや、がん治療に伴う身体と心のさまざまな苦痛を和らげること」というのが正しいでしょう。

がん末期の痛みだけでなく、種々の苦痛を抱えた人を総合的(全人的)にとらえて治療するのが緩和ケアです。がんと診断された人は初期からさまざまな苦痛を抱えていますので、緩和ケアはがん治療の初期から始めるべきです。

昨年制定された「がん対策基本法」でも、これまで軽視されがちであった緩和ケアを重視し、がん治療の初期から始めることを推奨しています。

「がんというのは肉体的にも精神的にもつらいもので、その治療中の苦痛(手術後の傷の痛みや抗がん剤の吐き気など)も我慢するのが当然」と考える方がおられるようです。しかし、苦痛をあまりに我慢していると、心身ともに衰弱して、治療に向かう意欲が衰え、本来持っている自然治癒力が低下してしまいます。

緩和ケアを受けるということは、病気から逃げることではなく、病気にしっかりと向き合えるようになり、心身ともに前向きの状態をつくり出すということです。

次回は「緩和ケア」ではどのような治療をするのか、痛みのケアと心のケアについて詳しくお話しします。