がん50話
44 胃がんを内視鏡で治す
上堂文也
胃がんの進行度は、胃の壁に対してどの程度、がんが入り込んでいるかによって決まります。がんが粘膜または粘膜下の結合組織(粘膜下層)までにとどまる場合を「早期胃がん」と呼び、外科手術により良好な結果(5年生存率95%以上)を期待することができます。その中でも特に、がんが粘膜にとどまる「粘膜がん」はリンパ節などへの転移の可能性が極めて低いため、がん部分の粘膜を切除するだけで治すことが期待できます。
これまで内視鏡できれいにとることのできるがんは2センチ程度の大きさとされてきましたが、最近では、ITナイフなどの処置具を用いて、粘膜を切開、剥離(はくり)する方法(内視鏡的粘膜下層剥離術=ESD)が開発されました。
そのため、これまでは転移の危険性がほとんどないにもかかわらず、技術的に切除ができないために手術されていた大きな粘膜がんも内視鏡で切除することができるようになりました。ただ、転移の危険性のない条件として、組織型(細胞の型)や深達度などいくつかありますので、内視鏡治療が可能かどうかは治療施設で実際に内視鏡でみてもらって判断する必要があります。
また、早期胃がんでは、がん自体の症状はほとんどありませんので、検診や胃潰瘍(かいよう)、胃炎などの疾患に伴う症状を契機に内視鏡検査で発見されることがほとんどです。検診や気になる症状があった場合には内視鏡検査を受けるようにしましょう。
