がん50話
43 胃がんの高危険群
上堂文也
胃の中にいる細菌、ピロリ菌に感染している人は感染していない人に比べ、胃がんの危険性が2・6倍高いとされています。しかし、日本に約6000万人いるピロリ菌感染者のうちで、胃がんになる人はごく一部にしか過ぎず、感染した人すべてを高危険群と考えるには無理があります。
では、ピロリ菌に感染した人の中でも、どのような人が胃がんになりやすいのでしょうか。
欧米では「cagA」という遺伝子を持つピロリ菌が胃がんの患者さんに多いのですが、日本では良性潰瘍(かいよう)や萎縮(いしゅく)性胃炎の方でも90%が「cagA」陽性のため、菌自体よりも人側の要因の重要性が指摘されています。
ピロリ菌が感染すると、胃粘膜で「インターロイキン1β」という胃酸を抑える物質が過剰に生み出され、発がんの危険性が高くなる人がいます。また、喫煙も男性で胃がんのリスクを高めるとされています。飲酒だけでは関連性を認めませんが、喫煙を伴うと危険性は高くなります。食べ物との関係では、食塩の過剰摂取がリスクを増加させ、新鮮な果物や緑黄色野菜の摂取には予防効果があることが知られています。
血液検査では、「ペプシノーゲン」というたんぱくやピロリ菌に対する抗体を測定することで、胃がんになりやすい人を見つけることができるとされています。
このように、ピロリ菌に感染した人の中から胃がんになりやすい人を選び出すことは、生活習慣の改善によるがんの予防や、検診の推奨による早期発見を効率的に進めるうえで重要です。
