がん50話
41 慢性骨髄性白血病の治療薬
吉田均
前回(第40話)の急性白血病に続き、今回は慢性白血病についてです。
慢性骨髄性白血病は「9番染色体と22番染色体の転座」という染色体異常が原因となっていることが分かっています。この染色体異常によって、正常の細胞には存在しないBCR-ABLという異常なたんぱく質がつくられます。この異常たんぱく質により出される増殖シグナルが「造血幹細胞」に腫瘍(しゅよう)化を引き起こします。
慢性骨髄性白血病は、現在では健康診断などで白血球増加として発見されることがほとんどですが、肝臓、脾(ひ)臓の腫れからくる腹部膨満感などで受診し、診断されることもあります。
病初期には一見、白血球が増えているだけの状態(慢性期)ですが、経過とともに急性白血病と同様の状態となる時期(急性転化期)に移行していきます。慢性期では通常、無症状ですが、急性転化期へ移行すると、発熱、関節痛、骨痛、腹痛などの症状が出てきます。
慢性骨髄性白血病の予後は、腫瘍化の中心的役割を果たしているBCR-ABLの働きを阻害する薬剤「イマチニブ」が開発されて、画期的に変わりました。それ以前の治療薬は白血球の数をコントロールするだけでしたが、イマチニブは白血病細胞を減少させることができます。
イマチニブによる治療では、治療を始めてから5年以降でも90%近くの患者さんが生存されています。それ以前の薬物療法では、ほとんどの患者さんが、数年以内に急性転化期に移行して亡くなられていました。
また、造血幹細胞移植は、根本的な治療法ですが、そのリスクの高さとイマチニブの高い有効性から、現在ではイマチニブが無効の場合に用いられるようになってきています。
