情報提供:大阪府立成人病センター

大阪がん情報提供コーナー

がん50話

04 乳酸菌製剤による大腸がん予防

大阪中央病院消化器科部長
石川秀樹

人の大腸にはいろいろな種類の細菌が数多く生息しています。そのなかには、人の健康を維持するために重要な働きをしている細菌も存在することが分かってきました。特に、乳酸菌は良い働きが期待されています。私たちは、生きた乳酸菌を用いた大腸がん予防のための臨床試験を厚生労働省の研究として実施しました。大腸に前がん病変である腺腫(ポリープ)が複数あり、それらをすべて治療した患者さん390人を対象にした研究です。患者さんを、乳酸菌製剤を4年間服用するグループとまったく服用しないグループに分けて、両方のグループのすべての患者さんに2年ごとに大腸内視鏡検査を行い、新たな腺腫の発生状況を調査しました。その結果、乳酸菌製剤を服用した群では、服用していない群に比べて、異型の強い腺腫の発生が4年目で約3分の2に減少しました(図)。異型の強い腺腫はがんになりやすいので、このような腺腫の発生を減らす乳酸菌製剤は、大腸がんを減少させる可能性が高いと考えられました。この効果は、大腸内で乳酸菌が産生した乳酸が他の菌により酪酸に代謝され、その酪酸が大腸粘膜に良い影響を与えていることなどによるものと考えています。このような乳酸菌による大腸がん予防効果の報告はこれまでにされていませんでしたので、欧米で追試が行われ、この結果が再度、確認されることが期待されています。