情報提供:大阪府立成人病センター

大阪がん情報提供コーナー

がん50話

36 転移速い精巣腫瘍

大阪府立成人病センター泌尿器科医長
垣本健一

日本では精巣腫瘍(せいそうしゅよう)の発症率は年間10万人に1人前後で、決して多くはありません。しかし、乳幼児期と15~35歳前後に発症のピークがあり、青・壮年期の男性の中では頻度の高い腫瘍です。

腫瘍ができる原因は多くの場合、明らかではありませんが、精巣が体内にとどまり、陰嚢(いんのう)まで下りていない状態の「停留精巣」では、悪性化する確率が数倍から10倍程度になると言われています。

これまでに停留精巣を陰嚢内に固定する手術をされた方は、時々自分で両側の精巣を触り、大きさや硬さの変化に注意する必要があります。

この他、性ホルモンの異常や外傷などが精巣腫瘍の発生にかかわると指摘されていますが、詳細は分かっていません。この病気は放置しておくと転移するスピードが速いので早期発見することが重要です。

精巣腫瘍は患者さん自身が発見することが多いのですが、3分の2の方は精巣が腫れたり、硬くなるだけで、痛みや発熱を伴うことは少なく、発見が遅れる原因の一つになっています。

何かおかしいなと感じたら、泌尿器科を受診してください。触診、超音波検査、腫瘍マーカーなどで診断します。

腫瘍が発生した精巣は摘出します。CTなどで転移の有無を調べ、進行度に合わせて抗がん剤治療や放射線治療を行うこともあります。たとえ転移していたとしても、完全治癒する可能性のある病気です。