がん50話
33 腎細胞がんの早期発見
木内利明
成人に発生する腎がんのほとんどは腎細胞がんです。このがんの発生原因が解明されていないため、発生を防ぐことは今のところ不可能ですが、早期に発見すれば、完治は可能です。ただし、早期には自覚症状が認められないため、検診により早く見つけることが重要です。
血液や尿の検査では発見できず、腹部エコー検査や腹部造影CT検査で発見できます。大阪府立成人病センター泌尿器科での腎細胞がんの患者数はこの20年間で3倍に増加し、早期のしかも腫瘍(しゅよう)サイズの小さい腎細胞がんが70%を占めています。このような症例では手術により5年生存率がほぼ100%の成績になっています。
また、以前は腎摘除術を行っていましたが、腎機能が温存可能な場合には腎部分切除術を行います。「局所進行性腎細胞がん」や遠隔転移のある症例では、手術、免疫療法、放射線療法などを組み合わせて行います。
最近の進行性腎細胞がん治療における大きな進歩は、がん増殖活性を抑制する画期的な分子標的治療薬が開発されたことです。この薬剤の特徴は腫瘍の増大を抑制し、生存期間を延ばすことができることです。今年中に日本での使用が承認されそうです。これに続く新たな分子標的治療薬の開発も進んでおり、治療法の選択肢が今後、さらに広がると思います。
同科の各病期における年次別5年生存率をグラフにしていますが、治療成績の向上が認められます。
