がん50話
32 HPV検査とワクチン
上浦祥司
子宮頸(けい)がん発症の引き金がヒトパピローマウイルス(HPV)であることは前に述べました。100種類以上のHPVが知られており、このうち性器感染を起こすのは約35種類で、子宮頸がんを起こしやすい「HPV-16、18」を代表とする高リスク型と、そうでない低リスク型に分けられます。
性行為の経験後まもなくして6割以上の女性がHPVに感染すると報告されています。わが国でも15~19歳の半数以上、20~24歳の36%に感染が認められたとする報告があり、HPV感染は若い女性にはありふれた性感染症です。
ほとんどが2年以内で自然に治癒しますが、約1割の女性が持続感染して、前がん状態の「異形成」に進展します。さらにそのごく一部のみ(数%)ががん化しますが、それには10年以上かかるとされています。
HPV検査では、感染の有無や感染しているHPVのタイプを調べます。細胞診と組み合わせて診断精度を向上させ、不必要な検査を避けることで身体的、経済的負担を軽減することが期待されます。
HPVワクチンも既に開発され、うち一つは昨年6月に米国で認可され、使用されています。「HPV-16、18」と「HPV-16、11」を対象としたワクチンで、9~26歳の女性に0・2・6カ月の3回、筋肉内接種を行います。今年2月には米国テキサス州で11~12歳の少女にワクチン接種が義務づけられ、その是非を巡り論争が起きているようです。
わが国でも昨年より2種類のワクチンの治験が始まっています。現在のワクチンで子宮頸がんのすべてが防げるわけではありませんが、近い将来には子宮頸がんの撲滅も夢でなくなりそうです。
