がん50話
03 日本の大腸がんはなぜ増えた?
石川秀樹

日本では大腸がんが急激に増えています。それはなぜでしょうか?これを考える時に重要な資料があります。1997年に世界がん研究基金と米国がん研究財団が共同で出した報告書です(表)。これは、世界中で実施された環境ががんに与える影響を調査した研究をまとめたとても信頼できる報告です。その報告では、大腸がんの発生を確実に減らすのは野菜の摂取と適度な運動、ほぼ確実に増やすのはアルコールの飲み過ぎと赤身肉(牛肉、豚肉)の食べ過ぎとされています。日本では、昭和35年頃より急激に動物性脂肪の摂取量と飲酒量が増加していますので、赤身肉とアルコールの取り過ぎが大腸がんの増加に大きく関わっていると考えられます。また、最近の厚生労働省の研究で、運動不足の人に大腸がんの発生が多いことが報告されましたが、現代の日本人は運動不足ですので、これも大腸がん増加の一因と考えられます。野菜については、摂取量がとても少ない場合には大腸がんを増やしますが、野菜を多く含む和食中心の食事を取っている場合、さらに多くの野菜を食べたとしても大腸がんを減らすことはできないと考えられています。これらのことより、大腸がんを予防するためには、豚肉や牛肉を食べ過ぎないようにして、アルコールも適量(1日男性は1合まで、女性は半合まで)、和食中心の食事、適度な運動(やや早足で1日15分以上歩く)を心がけることが大切です。これを守るだけでかなりの大腸がんを予防できます。
