情報提供:大阪府立成人病センター

大阪がん情報提供コーナー

がん50話

26 急速な進行、専門医へ

大阪府立成人病センター脳神経外科主任部長
丸野元彦

近年、中枢神経系原発悪性リンパ腫が増加しています。その理由として、画像診断の進歩や高齢者人口の増加などがあげられますが、詳細は不明です。この腫瘍(しゅよう)は比較的高齢者に発生し、片まひなどの症状が急速に進行する特徴があります。診断には画像診断(頭部造影MRIやCT)が有効で、腫瘍が脳室周辺や脳表にあることで分かります。   しかし、診断を確定するには組織学的な診断が必ず必要で、生検(せいけん)術(手術で腫瘍組織の一部を採取する)が行われ、診断が確定した後に治療を始めます。   現在の標準治療はメソトレキセート(MTX)大量化学療法と脳への放射線照射です。   照射は通常、全脳に30Gy(グレイ、照射によって吸収される放射線エネルギー量の単位)、局所10Gy、合計40Gyの吸収線量で行われます。画像上、腫瘍が残存する場合には、定位的放射線照射を追加します。このような集学的治療により、これまでの放射線単独治療に比べ、生存期間がこれまでの2倍以上に延びています。   しかし、高齢者(70歳以上)では予後が著しく良くないことや白質脳症を中心とする神経毒性の問題などがあり、今後の対応が求められています。また、ステロイド剤により腫瘍が消失することがありますが、これは一時的な効果であり、生存期間は延長しません。むしろ、生検術前にステロイド剤投与が行われたために、腫瘍が消失してしまい、組織学的診断がつかず、治療を始めることができないケースが多くみられます。できるだけ早く脳神経外科専門医への受診が望まれます。