がん50話
21 喫煙・飲酒と因果関係
上村裕和

*「のど」と呼ばれる咽頭
「のど」と呼ばれる咽頭(いんとう)は、上咽頭、中咽頭、下咽頭の三つからなっています。上咽頭は鼻の奥の部分に相当し、この下に中咽頭があります。一番下の部分は下咽頭と呼ばれ、下咽頭はさらに食道につながります(図)。 この咽頭に発生するがんのうち、中咽頭がんと下咽頭がんの発がんの原因については、喉頭(こうとう)がんなどの頭頸(けい)部がんと同様と考えられていて、喫煙・飲酒との因果関係が深いことが指摘されています。ヘビードリンカー、ヘビースモーカーの方々は要注意と言えるでしょう。 中咽頭がんと下咽頭がんの好発年齢はいずれも50歳代から60歳代で、男性に多いがんです。食事をのみ込んだ時のしみる感じや違和感などが初期症状としてあげられますが、がんを小さな状態で見つけることはなかなか困難です。中咽頭や下咽頭のがん(原発巣)が大きな状態であったり、既にリンパ節に転移していたりすることがまれではないのです。 治療の主体は手術治療と放射線治療が一般的です。下咽頭と中咽頭は言葉を発することや食物をのみ込むという日常の基本的な機能にかかわる臓器ですので、進行がんでは機能喪失につながる治療を余儀なくされることもあるのです。 がんを根治することと機能を保つバランスが重要であり、再建手術の技術や抗がん剤と放射線を組み合わせた治療はこの問題を少しでも改善させる治療として期待されます。
