がん50話
19 禁煙で喉頭がん予防
吉野邦俊
喉頭(こうとう)がんは50歳以上の男性に多いという特徴があります。発がんには長年にわたる喫煙の刺激が最も大きくかかわっていることが疫学調査で明らかになっています。しかも、喫煙の量が増えるとともに発がんの危険性が高くなると言われています。 喫煙の量を示す指標として「ブリンクマン指数」がありますが、これは一日の喫煙本数に喫煙年数を掛け合わせた値です。例えば、一日20本を30年間吸い続けたとすると、指数は600になります。喉頭がんの患者さんのうち、97%の人が喫煙の習慣があり、指数600以上の人が大部分を占めています。 逆に言えば、喫煙しなければ喉頭がんの危険性は極めて低くなりますので、予防は禁煙に尽きると言っても過言ではないでしょう。その他には声の使い過ぎや、過度の飲酒なども発がん促進にかかわっているとされています。 喉頭がんの初発症状は声がれ(嗄声=させい)が多いのですが、他にのどのイガイガ感もあり、これらは風邪の症状と似ています。風邪の場合は1週間ぐらいで治るのが普通ですので、1カ月以上も症状が続く場合は耳鼻咽喉(いんこう)科で診察を受けるのが良いでしょう。進行すると、痛み、血たんなどが加わり、ひどい場合は呼吸困難になります。 治療の目標は、発声や気道、嚥下(えんか=のみくだすこと)の喉頭の働きを保って、がんを根絶することですが、幸い早期がんでは放射線治療によって、90%は喉頭の働きを保ったまま治すことができます。 再発した場合でも、最近では喉頭の働きを残した手術が可能になってきています。進行がんでは残念ながら、喉頭摘出が必要になり、喉頭の働きはなくなります。
