情報提供:大阪府立成人病センター

大阪がん情報提供コーナー

がん50話

18 肝がんの外科治療

大阪府立成人病センター消化器外科副部長
山田晃正

肝臓は人間が生きていく上で必要不可欠な臓器の一つです。そのため、がんを摘出するために肝臓の一部を切除する際には、生命を支えるのに十分な肝臓を残さなくてはなりません。つまり、肝臓の手術を行う際には、切除すべき肝臓と残すべき肝臓のバランスを常に考えて手術の適応や術式を決めているのです。   肝がんの切除の適応は、腫瘍(しゅよう)の個数3個以内とする場合が一般的で、腫瘍の大きさはあまり関係ないとされていますが、比較的小さい肝がんの場合は、ラジオ波熱凝固療法などの内科的治療が選択されるケースもみられます。   ひと昔前まで、肝がんの手術と言えば、出血量も大変多く、合併症の発生率も高く、いわば命がけの手術の印象がありましたが、手技や器具、術後管理の進歩に伴い、近年では大半が輸血なしでも手術が可能で、手術死亡率(術後30日以内の死亡率)は1%未満にまで低下し、他の手術とそん色のない安全性を確保できるようになってきました。   また、全手術例の5年生存率は約50%にまで向上しており、中でも今まで治療困難と言われてきた進行肝がんに対する治療成績(5年生存率35%)が年々向上してきています。   これは、高度進行肝がんに対して、手術だけでなく、放射線治療・化学療法など、さまざまな治療法を実施することと、インターフェロンなどを用いた手術後の発がん・再発予防に対する治療戦略が定着してきたことにより得られた成績です。   診療科の垣根を越えた、今まで以上の密な連係プレーが、治療成績をさらに向上させるために必要不可欠と思われます。